悪徳業者の見分け方
残念ながら、アスベスト・解体工事業界では、いわゆる「悪徳業者」による被害が後を絶ちません。元々アスベストには危険性があるのですが、ずさんな手抜き工事により飛散し、被害が拡大しているのです。
まず、悪徳業者の手口をアスベスト業者と解体業者に分けてお伝えします。
悪徳アスベスト業者の手口
1.アスベストがない現場に、他の現場で取っておいたアスベスト建材をまき、アスベスト処理費用を上乗せし請求する手口です。
2.アスベストがある現場であるにもかかわらず、アスベストがないと隠し、アスベスト除去をしないで解体してしまう手口です。
3.鉄骨ビルのアスベスト除去工事などは、通常、複数の工区に分かれて施工されます。しかし、労基署や自治体の職員は余裕がないので、最初の工区しか点検しません。
ここにつけ込み、最初の工区だけプラスチック製シートで完璧な養生(密閉措置)をして「検査用の工区」をつくります。
それ以外の工区は安価なシートを使った「見せかけだけの工区」をつくったり、まったく養生しなかったりします。
「検査用の工区」の点検が終われば、手抜き養生のし放題で、養生費用を浮かせる手口です。
4.除去した吹付けアスベストは、廃棄物処理法により特別管理産業廃棄物として適正に処理しなければならないのですが、アスベストを不法投棄して処理費用を浮かせる手口です。
5.工事をする者が着る防護服や防護マスクを、使い捨てで使用せず使い回したり、あるいは、専用の産業廃棄物ポリ袋を使用せず、普通のポリ袋を使用したりして、処理費用を浮かせる手口です。
悪徳解体業者の手口
1.地中障害物(埋設物)を施主の確認、了解も得ないで、勝手に撤去する手口です。証拠となる写真などもない状況で、高額な追加費用を請求してきます。また、ありもしない地中障害物を撤去した、と言い張る場合もあります。
解体工事中に古井戸や、以前土地の造成に携わった業者が廃材などを埋めて残した地中障害物が出てくることがあります。地中障害物があるかどうかは、実際に解体して掘ってみなければわかりません。
ですから、万一地中から障害物が出てきた場合は、撤去処理費用として別途追加費用が必要となります。
当サイト登録業者はこのようなケースが発生した場合は、速やかにお客様にご連絡し、発生した事実を確認していただき、撤去にかかる日数や費用のお見積もりをご提出いたします。
2.ろくに養生もせず、騒音やホコリがひどいため、近隣からのクレームで解体工事を中断せざるを得なくなりました。
解体工事が途中でストップすると、その分、工事期間が延びてしまいます。工事期間が延びると、解体業者にとっては、雇っている職人やレンタルしている重機の使用期間が長くなり、追加で経費がかかることになります。
その追加でかかった経費を「追加費用」として施主に請求する手口です。
元々、着工前に近隣の方々にごあいさつし、防音・粉じんなどの対策として適切な養生を施したうえで施工すれば、近隣からのクレームで解体工事をストップする事態にはなりません。
悪徳業者は、このような基本的なことが実行できないのです。
3.解体業者が工事中に誤って隣家を傷つけてしまったのですが、解体業者がその建物の破損などの復旧費用を自社で負担せず、施主に請求してくる手口です。
このように復旧費用をお客様に負担させる解体業者は、ほとんどの場合、賠償責任保険に加入していない業者です。
解体業者が賠償責任保険に加入するには、厳しい審査があり、逆に言えば、賠償責任保険に加入している業者は優良業者と言えます。
当サイト登録業者は、賠償責任保険に加入していることが登録基準の一つになっていますので、ご安心ください。
4.解体工事で発生した廃材(産業廃棄物)を適正に処理せず、山林や解体工事現場の地中に不法投棄する手口です。
廃棄物処理費は解体費用全体の約4割を占め、廃棄物運搬費も加えると、解体費用全体の5割以上になります。
そのためこの費用を抑えるため、悪徳業者は産業廃棄物を人目につかない場所に不法投棄することがあります。
5.まっとうな解体業者を装い、解体現場のアスベスト調査を依頼するのですが、その時、「調査してアスベストが入っていなくても入っていることにしてくれないか」と、とんでもない依頼をする手口です。
当サイトにもこのような悪徳解体業者から電話がかかってきたことがあります。
あなたが依頼した解体業者が、裏でこんなとんでもない要求をしていても、あなたがその事実に気づかないことも十分ありえます。
悪徳アスベスト業者の養生例
最近、当サイト登録業者が現地調査の際、とんでもない養生に遭遇しました。
養生とは、アスベスト工事の場合は、アスベストが飛散しないように密閉措置をすることです。
以下に、その時の写真を掲載いたします。
1.何と「ブルーシート」で養生 |
2.床の重ね幅は30cm以下 |
3.壁養生も全く不十分 |
4.アスベスト分析自体も不可解 |
1.何と「ブルーシート」で養生
作業場の隔離養生には、プラスチックシート(ポリシート)を用いるのですが、何とこの現場では「ブルーシート」が使われていました。
ブルーシートは密閉性がないため、髪の毛の5000分の1の小ささのアスベストを飛散させてしまいます。
また、石綿飛散防止対策マニュアルで、床の養生には0.15mmの厚さのプラスチックシートを2枚重ねすることが規定されています。
しかし、この現場では、ブルーシートの上に0.1mmのプラスチックシートが重ねられており、規定された養生の要件を全く満たしていない状況でした。
2.床の重ね幅は30cm以下
床養生の1重目と2重目の重ね幅は、それぞれ30cm以上にしなければなりません。
しかし、この現場では30cm以下で、全く要件を満たしていません。
3.壁養生も全く不十分
壁養生では、壁面にテープを用いて全面をしっかり密着、固定しなければなりません。
また、床面のプラスチックシートを、壁にそって30cm以上折り返す必要があります。
床養生の1重目・2重目共、壁面の立ち上がりをそれぞれ30cm以上にします。
この現場では、テープがはがれ、壁面の立ち上がりもなされていません。
4.アスベスト分析自体も不可解
調査結果の概要が掲示されていましたが、「クリソタイル・トレモライト・アクチノライト含有」と記載されています。
当サイト登録のアスベスト専門業者によると、これら3種類のアスベストが同時に含有するケースはめったにないとのことです。
また、この現場のアスベストを分析した分析機関が、別の案件で、「アスベスト含有なし」と報告したケースがあります。
お客様のご依頼により、当サイトの分析機関が同じ現場を再度分析した結果、「アスベスト含有あり」と、全く逆の分析結果が出たケースもあります。
従って、この現場のアスベストを分析した分析機関自体も不可解と言わざるをえません。
※この案件のさらに詳しい経緯につきましては、「運営者ブログ」に記載していますので、そちらも合わせてご覧ください。
優良アスベスト業者の養生例
下記に、当サイト登録業者の養生例を掲載しています。
上記の、床・壁の養生要件を全てクリアしておりますので、ご確認ください。
1.床養生(1重目)床重ね30cm以上 |
2.床養生(2重目)床重ね30cm以上 |
3.床養生(1重目)床立ち上げ30cm以上 |
4.床養生(2重目)床立ち上げ30cm以上 |
6.壁養生 |
6.壁養生 壁重ね30cm以上 |
悪徳アスベスト解体業者の見積もり例
以下に掲載した見積書は、最終的に当サイトにアスベスト解体工事の依頼をされたお客様が、業者選定時に取得されたある業者の見積書です。
当サイトで内容をチェックしてほしいとのことでしたので、こちらに送っていただきました。
この見積書を早速チェックしたのですが、これがとんでもない見積書だったのです。
1.何と「アスベスト除去費用」の記載がない
この見積書には、アスベスト関連費用については、「アスベスト処分費」375,000円、「アスベスト運搬費」55,000円の、合計430,000円の見積もりしか記載されていません。
肝心の、アスベスト養生・除去工事費用・環境測定費用・報告書作成費用など、ほとんどの項目が抜け落ちています。
2.解体費用が高い
トータル金額から上記のアスベスト関連費用を引けば、解体費用が算出されます。
解体費用=3,703,704-430,000=3,273,704円(税別)
この案件における、当サイト登録解体業者の解体費用は194万円(税別)でした。
何と133万円も高くなっています。
3.アスベスト解体工事のトータル金額を安くする手口
当サイト登録アスベスト業者のアスベスト除去費用は190万円(税別)でした。
よって、当サイトのトータル金額は、194万+190万=384万円となります。
この悪徳アスベスト解体業者のトータル金額は370万円ですから、14万円ほど当サイトの見積もりが高いことになります。
まさに、トータル金額を安くする手口なのです。
しかしながら、14万円安い見積書の内容は、アスベスト関連のほとんどの項目が抜け落ちているわけです。
この見積書では、アスベスト工事については届出をせず、そのまま隔離養生をしないで解体し、処分のみを特別管理産業廃棄物として捨てる内容となっています。
隔離養生をしていないので、アスベストが飛散し、取り返しのつかない事態になってしまいます。
2014年6月1日の大気汚染防止法の改定により、施主様の発注者責任が明確化されましたので、このような工事を行えば、施主様の法的責任が問われることになります。
実際に、このような悪徳業者が存在するので、細心の注意が必要です。
※この案件のさらに詳しい経緯につきましては、「運営者ブログ」に記載していますので、そちらも合わせてご覧ください。
優良なアスベスト解体業者を選ぶ7つのポイント
以上、悪徳業者の事例を記載しましたが、アスベスト解体工事において、
「信頼できる業者選びが一番重要」であることをご理解いただけたと思います。
それでは次に、あなたを悪徳業者から守る7つのポイントについてご説明します。
1.丁寧な説明、詳細な見積りを提示する業者ですか?
現場の状況により的確な対応策を提示することができ、工事内容や工事過程、工事中の近隣対策や住民に対してのアドバイスなどを分かりやすく丁寧に説明してくれる業者は信頼できます。
また、現地調査の上、詳細な見積もりを提示し、その見積もりに関する細かな質問にも的確に答えてくれる業者は、さまざまな経験を積んでいる証拠です。
2.工事費用が安すぎる業者ではないですか?
アスベスト処理工事では、工事をする者が着る防護服や防護マスクを使い捨てで使用するのですが、工事費用が安い業者は、このような消耗品を使い回して使用することでコストを抑え、工事費用を安くしています。手抜き養生で養生費用を浮かせるのも同様です。
このように違法な施工をすれば、アスベストが外部に飛散してしまう可能性が高まり、その結果非常に危険な状況となります。
また、工事費用が安すぎれば、当然原価割れを起こします。そうすれば、工事のどこかの部分で手抜きをし、穴埋めしなければなりません。
手抜き工事になれば、アスベストが完全に除去されずに解体されてしまうかもしれません。そうなれば、アスベストを空中にまき散らしてしまい、大問題になるでしょう。
安さももちろん、大切な要件ですが、適正な価格で工事する業者を選ぶことが、結果としてあなたの安心と経費節減につながるのです。
3.自社でアスベスト用機材や解体用重機を揃えている業者ですか?
工事を下請業者に出さずに自社施工を行う業者は、間接費用が掛からないので、工事費用が抑えられます。
自社で職人を抱え、アスベスト処理用機材や解体用重機も取り揃えているので、質の高い工事が適正価格で施工可能となります。
4.アスベスト解体工事に必要な資格・許可を有する業者ですか?
アスベストの除去作業には、作業方針の決定や労働者の指揮、除去において必要な装置類の点検などの責任者「石綿作業主任者」と、産業廃棄物の正しい後処理を行う「特別管理産業廃棄物管理責任者」の資格者を置くことが義務付けられています。
また労働者全員に石綿障害予防規則に基づく特別教育を実施しなければなりません。
なお、2006年(平成18年)3月31日までに特定化学物質等作業主任者技能講習を修了した者については、石綿作業主任者として選任してもよいことになっています。
その他、除去作業を行なう作業員は、法律で定められている健康診断を受けている者(じん肺法、特定化学物質等障害予防規則などに基づくもの)であることが必須条件です。
また、解体工事においても、以下の必要な許可証を有している解体業者でなければなりません
●解体工事を実施するために必要な許可証
→「建設業の許可証」または「解体工事業の許可証」
「建設業の許可証」は、建設業法の「土木工事業、建築工事業、とび・土工工事業」のいずれかの業種についての許可
「解体工事業の許可証」は、施工場所を所管する都道府県毎に解体工事業の許可が必要
※ただし、1件につき500万円(消費税を含む)以上の解体工事業を請け負うには、解体工事業の許可証ではなく、建設業の許可証が必要です。
●廃棄物の収集運搬のために必要な許可証→「産業廃棄物収集運搬業許可証」
さらに、万が一の場合の事故を保証できる「賠償責任保険」に加入している解体業者でなければなりません。
※賠償責任保険に加入していない解体業者は、何らかの事故が発生した場合、その負担額を支払えない可能性があるので、注意が必要です。
アスベスト解体業者がこれらの資格・許可を有する正当な業者なのか、そして、それぞれの資格・許可の期限やエリアに問題がないかを、必ず直接聞いて確認しましょう。
5.廃棄物処理を適切に行っている「法令厳守の業者」ですか?
危険物であるアスベストの除去作業においては、最後まで、周辺住民の方々の安全を最も重視した環境作りや後片付けがなされなければなりません。
アスベストは、以下の表のように、特別管理廃棄物「廃石綿等」または「石綿含有廃棄物」として、廃棄物処理法により安全な廃棄方法が定められています。
区 分 |
処理規定 |
|
---|---|---|
飛散性を有するアスベスト |
特別管理産業廃棄物「廃石綿等」として管理型処分場にて埋立処分 |
|
非飛散性のアスベスト |
重量で0.1%を超える石綿を含有するもの |
産業廃棄物の「石綿含有廃棄物」として安定型処分場にて埋立処分 |
重量で石綿含有量が0.1%以下のもの |
産業廃棄物として処理。 |
アスベスト業者は、廃棄物処理法によりアスベストを正しく処理するために、マニフェスト(産業廃棄物管理票)を適正に発行しなければなりません。
アスベストと同様、解体業者は、解体工事の際に発生する産業廃棄物を正しく処理するために、マニフェストを適正に発行しなければなりません。
アスベスト解体業者がこれらのマニフェストを適正に発行する正当な業者なのか、そしてマニフェストのうち「E票のコピー」を施主であるあなたに必ず提出できるかを、直接聞いて確認しましょう。
E票のコピーは、産業廃棄物がきちんと処理されたことを確認するために必要となります。
マニフェストの提出を依頼しても発行できない業者は、廃棄物を違法に処分(不法投棄など)している悪徳業者の可能性が高いので注意が必要です。
このように、あなたや周辺住民の方々のために、是非共、「法令厳守の業者」をお選び下さい。
6.工事前に契約書を締結する業者ですか?
工事開始前に、工事代金や支払期日、工事の開始日や完了日を明記した契約書を必ず締結しましょう。
その際、不当な追加費用を請求されないよう、「工事後に不当な追加費用を請求しない」等の文言を必ず入れることをお勧めします。
7.完了報告書の写しと建物取毀証明書をお渡しする業者ですか?
アスベスト解体工事完了後に、アスベスト業者が関係役所に工事完了報告書を提出します。
また、解体業者が建物取毀証明書(たてものとりこわししょうめいしょ)を滞りなく発行します。
これらの工事完了報告書の写しと建物取毀証明書を受領できるかを、直接聞いて確認しましょう。
解体工事完了後、1カ月以内に建物滅失登記を行う必要がありますが、建物取毀証明書はその際必要になります。
もちろん、当サイトの登録業者はこれらの基準を全てクリアしていますので、安心してご依頼ください。