アスベスト解体工事とは
アスベスト解体工事とは、アスベストが使用された建物を解体することです。
アスベストは、実に多くの種類の建材に使用されています。よく問題になっている吹付けアスベスト以外にも、内装の天井材や床材、外壁材などの成形板にも使用されていて、その種類は3000種類を超えるともいわれています。
2005年8月に労働安全衛生法施工令および石綿障害予防規則が改定され、法定に基づく規制の対象となる石綿含有率が、1パーセントから0.1パーセントに改められ、2006年9月1日から施行されました。
そしてこれらアスベストの撤去・除去を行うときは、石綿にかかわる環境関係法規(労働安全衛生法・石綿障害予防規則・じん肺法・作業環境測定法・作業環境評価基準法・大気汚染防止法・廃棄物の処理および清掃に関する法律)などにより、厳しく規定されています。
したがって建築物・工作物等の解体工事、改修工事をおこなうときは、事前にアスベストが使用されているかどうかを設計図や現場調査により調査する必要があります。アスベストの使用が明らかになったときは、法規に基づき除去作業を行わなければなりません。
このように、アスベストと解体工事は非常に密接な関係にあるのです。
そして、このアスベスト解体工事ですが、これから10年以上にわたり増え続けるのです。
以下の図表をご覧ください。
<民間建築物の年度別解体棟数(推計)>
出典:国土交通省 社会資本整備審議会建築分科会アスベスト対策部会資料
これは、民間建築物の年度別解体棟数を推計した図表です。
1000平米未満の中小の民間建築物などに対象を拡大すると、アスベストがあるのではないかと推測される民間建築物は約280万棟と推計されています。
アスベスト解体のピークは平成40年(2028年)頃になり、そのピーク時の解体棟数は、平成25年現在の約2倍と推計されています。
アスベスト解体はまさにこれからピークを迎えるのです。
アスベスト解体工事の流れ
アスベスト解体工事の流れをご説明いたします。一般的な流れですので、建物の状況などにより多少の差があります。
1.現地調査
電話やメールなどで簡単に概算見積もりを出してくれる業者もありますが、やはり現場調査をすることで、より正確で適正な詳細見積もりを算出することができます。
特にアスベスト解体の場合、正確なアスベスト除去費用を算出するために現地調査は必須となります。一般的な現地調査の内容は、以下のとおりです。
①建物の延床面積
②建物の構造
③アスベスト含有調査
④外構、植栽の有無、規模
⑤乗り入れ可能なトラック
⑥養生シートの種類、面積等
※現地調査に基づき、お客様に詳細見積書をご提出いたします。
こちらにつきましては、「ご依頼の流れ」で詳しくご説明しています。
→「ご依頼の流れ」はこちら>>
2.施工計画の作成
現地調査の結果や解体対象物の図面を基に、解体の手順や重機の搬入ルートなどを計画します。また、アスベストの処理計画や周辺及び作業員を含めた環境保全計画を作成します。
ここで作成した施工計画は、アスベスト解体工事のすべての作業の手順となります。
3.アスベスト解体工事の届出
アスベスト解体工事レベル1は、以下の4種類の届け出が必要となり、レベル2は3種類の届け出が必要となります。
1.アスベスト工事関連の届出(大気汚染防止法)
工事の発注者は、特定粉じん排出等作業開始の14日前までに、都道府県知事に届出をしなければなりません。(大気汚染防止法に基づく)
特定粉じんとは、アスベスト(石綿)のことで、特定粉じん排出等作業とは、アスベスト工事を意味します。
2.アスベスト工事関連の届出(労働安全衛生法)→レベル2は不要
工事の施工者は工事開始の14日前までに、工事場所を管轄する労働基準監督署に届出をしなければなりません。(労働安全衛生法に基づく)
3.アスベスト工事関連の届出(石綿障害予防規則)
工事の施工者は工事開始前までに、工事場所を管轄する労働基準監督署に届出をしなければなりません。(石綿障害予防規則に基づく)
4.解体工事関連の届出(建設リサイクル法)
工事の発注者は、延床面積が80㎡以上の建物を解体する場合、工事開始の7日前までに、都道府県知事に届出をしなければなりません。(建設リサイクル法に基づく)
※上記の届出は、当サイトの登録業者が代行いたしますので、ご安心ください。
<アスベスト解体工事等における届出一覧表>
当該法律 |
届出義務者 |
提出先 |
対 象 工 事 |
提出期限 |
大気汚染防止法 第18条の15(特定粉じん排出等作業実施届) |
工事発注者 (施主) |
都道府県知事 |
・特定建築材料(吹付け石綿、石綿含有保温材、石綿含有耐火被覆材、石綿含有断熱材)の除去工事 レベル1・2 |
工事開始14日前まで |
労働安全衛生法 第88条第3項(工事計画届) |
工事施工者 (元請業者) |
労働基準監督署 |
・耐火・準耐火建築物の吹付け石綿の除去作業 レベル1のみ |
工事開始14日前まで |
石綿障害予防規則 第5条(作業届) |
工事施工者 (元請業者) |
労働基準監督署 |
・上記以外の建築物の吹付け石綿の除去・封じ込め・囲い込み ・石綿含有保温材、石綿含有耐火被覆材、石綿含有断熱材の除去・封じ込め・囲い込み レベル1・2 |
工事開始前まで |
建設リサイクル法 第10条
|
工事発注者 (施主) |
都道府県知事 |
・延床面積が80㎡以上の建築物の解体 ・延床面積が500㎡以上の建築物の新増築 ・請負代金が1億円以上の建築物の修繕模様替(リフォーム等) ・請負代金が500万円以上の工作物の工事(土木工事等) |
工事開始7日前まで |
※労働安全衛生法第88条第3項(工事計画届)の規定による届出をする場合は、石綿障害予防規則第5条(作業届)は不要。
※自治体によっては、条例上の届出義務もあるケースがあるので留意が必要。
4.近隣へのごあいさつ
実際に解体工事が始まれば近隣の皆様にはご迷惑をお掛けすることになります。
そのため、当サイト登録業者が近隣の皆様にごあいさつ・ご説明をし、ご納得をしていただき、円滑に工事を行えるようにします。可能であれば業者と一緒にごあいさつをしていただくか、ご自身でごあいさつをしていただくことをお勧めします。
また、石綿使用の有無について事前に調査をし、その結果等を解体工事の場所に掲示しなければなりませんが、当サイトの登録業者が代行いたしますので、ご安心ください。
5.引込配管、配線の撤去の手配
ガス、電気などが つながったまま工事を行うと大変危険です。そのため、ガス、電気、電話の引込配管、配線の撤去の手配をしてください。手配後、専門の業者により、撤去を行います。
また、水道は通常、工事中防じんのために登録業者が使うことになりますので、撤去する前に登録業者に確認してください。
6.アスベスト解体工事開始
1.足場・養生の組み立て
まず、作業員の足場の組み立てを行います。また、周辺環境に応じて、作業中の騒音を防ぐための防音パネルや、粉じん飛散を防止するための外壁シートを設置します。特に、アスベスト除去作業があるため、アスベストの飛散防止のため、慎重かつ確実に養生を行います。
このようにして、近隣の方へのご迷惑を最小限にします。
2.建物内部の残存物撤去
アスベスト含有建材が使われている天井を残して、建物内部の各種工作物や設置されている機械類を撤去し、スケルトン状態(建物内部の物をすべて撤去して何もない状態)にします。
具体的には、畳・瓦・建具・住宅設備機器・不用品(タンス・ベッド等)を撤去します。各種工作物や機械類は、単に撤去するだけでなく、分別やリサイクル処理などを行うものなどに仕分けするなどして、地球環境にも配慮して作業を実施しています。
3.アスベスト除去
天井・梁・壁などのアスベスト含有建材を撤去します。アスベストが飛散しないよう、慎重かつ的確に除去を行います。
アスベスト除去作業の流れについては、当サイト加盟会社による施工例をご覧ください。
アスベスト解体工事の一連の施工写真はこちら>>
4.建物内部の解体(内装解体)
ここからが本格的な解体工事の開始です。まず、2で撤去しなかった、建物内部の解体から始めます。内装材・窓ガラス・サッシなどを撤去します。
5.建物本体の解体
建物そのものの解体です。屋根、梁、柱、外壁の順に解体し、基礎を掘り起し撤去していきます。ほこりが飛ばないように、水をまきながら作業をします。
6.廃材の分別・収集・搬出
現場で廃材を、木材、鉄、プラスチック、コンクリートガラなどに分別します。分別解体に基づき、手作業や機械を使いながら分けていきます。
7.地中障害物の確認
解体終了後、廃材が地中に残ったりしていないか、その下にコンクリートが入っていないかを確認します。
解体後、建物を建てるときに、廃材が地中に残っていたり、その下にコンクリートが入っていたりすると、その部分を撤去しなければならなくなります。これは、お客様にとって大きなご負担となってしまいます。
そのようなことのないよう、当サイトがご紹介する登録業者はしっかりと地中の確認を行います。
8.整地
解体後の地面を平らに整地します。
使用用途やご要望によって、ブルドーザーなどで地面を平らに整地にします。
駐車場にする場合は砕石などを敷いたり、コンクリートやアスファルトで舗装を施したりします。
7.アスベスト解体工事完了
可能な限り、残存物がないかどうかなど、立ち合い確認をしていただきます。
アスベスト解体工事の一連の施工写真はこちら>>
アスベスト解体工事4つの注意点
アスベスト解体工事とは、アスベストが使用された建物を解体することです。特に吹付けアスベスト(レベル1)が使われている場合は、適切な養生(密閉措置)を施し飛散しないように実施しなければなりません。
ここではアスベスト解体の特に注意すべき点を4つにまとめています。
1.事前調査の重要性の認識
事前調査は、設計図書の調査及び現地調査を行い、必要な場合はアスベストの試料(サンプル)を採取し、分析することです。
この事前調査を的確に実施すれば問題ないのですが、実際は不十分なケースが多いのです。その結果、解体途中でアスベストが見つかり、通常の解体工事がアスベスト解体になり、予算が合わずに中断せざるを得なくなるということが起きてしまいます。
2014年6月1日に改正された大気汚染防止法においても、以下のように規定されています。
●解体等工事の受注者及び自主施工者は、石綿使用の有無について事前に調査をし、その結果等を解体等工事の場所に掲示しなければなりません。
また、解体等工事の受注者は、発注者に対し調査結果等を書面で説明しなければなりません。
2.分離発注がベストの形
解体業者経由でアスベスト業者に依頼すると、解体業者の中間マージン(利益)がアスベスト工事費用に10~20%ほど上乗せされます。
ハウスメーカーや工務店が元請になる場合は、20~30%ほどの元請の中間マージンが工事費用に上乗せされ、下請業者のマージンも10%ほど上乗せされます。
当然その分、アスベスト工事費用が高くなるわけです。
分離発注とは、アスベスト工事と解体工事を分けて発注することです。
発注者が解体業者とアスベスト業者に直接発注することにより、解体業者や元請業者による中間マージンが発生せず、その結果、アスベスト工事費用が安くなるのです。
3.「悪徳業者」には絶対に発注しないこと
既述しましたように、当サイト「アスベスト解体ネット」では、アスベスト解体時に、アスベスト工事と解体工事を分離発注し、中間マージンをカットしたリーズナブルな見積もりを算出しております。
ですから、「この見積金額の半分で出来る」などという解体業者やアスベスト業者は、間違いなく「悪徳業者」「違法解体業者」「不法投棄業者」です。
目先の安さに引かれ、このような悪徳業者に発注し、危険なアスベストが飛散したら取り返しのつかない事態になってしまいます。実際このような違法解体はアスベスト解体の現場では数多く起こっており、当サイトでは何度も指摘してきました。
2014年6月1日に改正された大気汚染防止法においても、以下のように規定されています。
●解体等工事実施の届け出義務者が、工事の施行者から工事の発注者に変更になりました。
ですから、アスベスト解体を悪徳業者に発注し、アスベストが飛散するような事態を引き起こした場合、発注者(施主)にも責任が課せられる可能性があります。アスベスト解体の発注には細心の注意が必要です。
4.アスベスト業者と解体業者との連携プレーが必須
アスベスト解体工事では、まず解体業者が、アスベスト含有建材が使われている天井を残して、建物内部の各種工作物や設置されている機械類を撤去し、スケルトン状態(建物内部の物をすべて撤去して何もない状態)にします。
次にアスベスト業者が、天井・梁などのアスベスト含有建材を、アスベストが飛散しないよう慎重に除去・撤去をします。
その後、解体業者による本格的な解体工事になります。
このように、アスベスト解体時には、アスベスト業者と解体業者との「あうんの呼吸」とも言うべき連携プレーが必須になります。
この連携プレーが的確になされると、例えば、解体業者が設置した足場をアスベスト業者がそのまま利用するにより、無駄を省きコストダウンを図ることができます。
連携プレーが的確になされないと、アスベスト業者と解体業者の作業分担通り施工されず、工期が遅れるなどのトラブルにつながることも珍しくありません。
「アスベスト解体ネット」では基本的に、常にアスベスト解体を一緒に行っている、優良なアスベスト業者と解体業者を一括してご紹介します。
そのため、アスベスト業者と解体業者との連携プレーが的確になされ、安心・安全な工事が実施されるのです。
もちろん、優良解体業者のみのご紹介も無料ですので、お気軽にお問い合わせください。
アスベスト解体工事の動画
鉄骨造(S造)1階建て工場アスベスト解体工事の動画
まず、工場の吹付けアスベストを除去してから、建物の解体を行います。
1.アスベスト除去動画
1分でわかる!アスベスト除去リアル動画総集編
アスベスト除去動画の総集編です。アスベスト除去作業の一連の流れを確認できます。
2.アスベスト解体動画
アスベスト除去完了後の鉄骨造(S造)工場を重機で解体しています。
工場の右側にマンションが隣接しているため、慎重にアスベスト解体作業を行います。
アスベスト解体リアル動画2
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