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<「クボタ・ショック」から今日で10年>

2005年6月29日、大手機械メーカー・クボタの旧工場(兵庫県 尼崎市)周辺で、アスベストによる住民被害が発覚しました。これがいわゆる「クボタ・ショック」です。あれから10年、残念ながら、アスベスト被害に終息の兆しは見えません。

環境省の報告によると、アスベストを建材に用いた建物の解体や改修工事は、2013年度は、全国で10,062件でした。このうち664件で大気汚染防止法に定める工事基準が守られていなかったのです。

今年に入ってもアスベストの飛散事故が起きています。
4月に名古屋市の民間事務所の建て替え工事で飛散事故が発生。大気汚染防止法におけるアスベストの濃度は大気1リットルあたりアスベスト繊維10本が正常値とされていますが、この工事の敷地の境界では何と150本ものアスベスト繊維が検出されたのです。

また6月には、東京都から都営住宅の営繕工事業務を受託している住宅供給公社が、都営住宅54戸でアスベスト飛散対策を施さずに撤去工事をしたことが発覚しました。これは、官である住宅供給公社がずさんなアスベスト対策をし、飛散防止のための法律に従っていないという由々しき事態なのです。

 

ところで昨年6月、改正大気汚染防止法が施行されました。
工事の届け出義務を受注者から発注者に変更し、発注者責任を明確化したのです。
工事発注者は石綿の除去費用を十分考慮せず、短期間での工事を業者に求めます。業者は安い工事費で請け負い、アスベスト飛散対策を手抜きします。このような状況を打破しようと施行されたのです。

大気汚染防止法が改正されてからちょうど1年が経ちましたが、いまだに上記のような手抜き工事が横行しているのです。

クボタ・ショックから10年の節目として、6月27・28日、尼崎で「アスベスト被害の救済と根絶をめざす尼崎集会」が開催されました。
被害者の支援を行う尼崎労働者安全衛生センターの飯田浩事務局長は、
被害者にとって重く苦しい10年だった。これからアスベストを吸う人を絶対になくすこと。そのためには、でたらめな建物の解体をしないこと」と話されていました。

まさにその通りなのです。「違法解体・違法改修をさせないこと」、これに尽きるのです。

違法解体をさせないためには、自治体が事前通告なしの「抜き打ち検査」を実施することです。

労基署や自治体の職員は余裕がないので、検査時に最初の工区しか点検しません。悪徳業者はここにつけ込み、最初の工区だけプラスチック製シートで完璧な養生(密閉措置)をして「検査用の工区」をつくります。それ以外の工区は安価なシートを使った「見せかけだけの工区」をつくったり、まったく養生しなかったりします。「検査用の工区」の点検が終われば、手抜き養生のし放題で、養生費用を浮かせる手口なのです。

自治体が事前通告なしの抜き打ち検査を実施すれば、このような悪徳業者の手口も通用しなくなり、悪徳業者も行政の本気度を感じ、危機感を持たせることができるのです。

住民の方々も、身近でアスベスト工事が実施されている場合は、業者に説明会を求めたり、事前調査結果が掲示されているかなど、監視する姿勢を持つことが重要です。
不明な点があれば、最寄りの役所に問い合わせてみることです。

実際、深刻な飛散事故や工事の不備は、住民の方々の通報から発覚することが多いのです。

当サイトにも、
「近隣のアスベスト工事で、自宅にアスベストが飛んできたので分析してほしい」
とご連絡があり、サンプルを送っていただき分析したことが何度もあります。
分析の結果、アスベスト含有が認められたので、お客様が労基署と掛け合い、その過程で地方紙に記事が掲載され、工事が中止になった事例もあります。

このように、事態を監視し、問題が認められた場合は迅速に行動することが極めて重要だと思います。


アスベスト調査・除去・解体の件で、ご不明な点があればお気軽に当サイトまでお問い合わせください。


 

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