アスベスト除去トップ>アスベスト工事の注意点>建築所有者の責務の認識
当サイトの「アスベストについて」の中で述べたように、アスベストの処理はこれからピークを迎えます。 アスベスト使用の可能性のある既存建築物の老朽化が進み、今後増加する解体作業によって、アスベスト飛散による被害が拡大・顕在化することは間違いありません。
そこで、2005年7月1日から施行された「石綿障害予防規則」は、建築物の使用時からアスベスト除去を行なう解体工事までの範囲で、それぞれの利害関係者に対する措置を定めた内容になっています。
この規則では、建物所有者や管理者にもアスベストに対する一定の責務を課しています。
例えば次のような内容です。
1.建築物の大規模な増改築等を行う場合には、吹付けアスベスト等の除去等をしなければなりません(※1)。
2.解体工事業者等に情報を提供する(※2)とともに、アスベストが確認されたときは、解体工事業者に対して届出の要請を行い、適切に作業や廃棄物の処理等が行われるかどうかを確認しなければなりません。
3.工事受注者が、アスベスト飛散防止措置を適正に行うことができるよう、必要な工期・費用等を見込んだ適正な条件で発注しなければなりません(※2・3)。
※1:建築基準法第28 条の2及び第86条の7
※2:労働安全衛生法第3条、石綿障害予防規則第8条及び第9条
※3:大気汚染防止法第18条の19
大気汚染防止法では次のような罰則を課しています。
計画変更命令(法第18条の16)、作業基準適合命令等(法第18条の18)に違反した場合、特定粉じん排出等作業の実施の届出(法第18条の15第1項)をせず、又は虚偽の届出をした場合には罰則が課せられる(→法第33条の2第1項、法第34条)。
※「特定粉じん」とはアスベストを意味します。
※法第33条の2第1項→6カ月以下の懲役又は50万円以下の罰金に処する
※法第34条→3カ月以下の懲役又は30万円以下の罰金に処する
発注者であるあなたに、このような罰則が課せられますので注意が必要です。
1.まずは、信頼できるアスベスト専門業者を選ぶことです。
詳細はこちら>>
2.アスベスト工事の予算取りをする前に、必ず事前調査の上、「詳細見積もり」を取ることです。そうでないと、解体工事の途中でアスベストが見つかり、計画自体が頓挫しかねません。
3.自治体によって独自の条例があることがあるので、業者への相談は早めにすることです。
以下の例のように、東京の千代田区では工事開始の1月前までに標識を設置しなければなりません。
例)千代田区建築物の解体工事計画の事前周知に関する要綱
第6条 発注者等は、建築物の解体工事を行おうとするときは、近隣住民及び地元町会に解体工事に係る計画の周知を図るため、工事開始の1月前までに別記様式による標識(以下「標識」という。)を設置しなければならない。
各自治体の助成金対象となるのは、解体工事を伴わない、アスベスト除去等工事のみを行う場合です。すなわち、該当建物をそのまま継続的に使用する場合に限定されるのです。この場合でも、耐火被覆工事等を施す必要があります。
ですから、実際にはアスベストだけの工事はほとんどないのが実状です。アスベストを除去し、解体し、建て替えたり改築をしたりするのが、ほとんどのケースなのです。
しかし、十分な事前調査も実施せずに解体工事を始め、途中でアスベストが見つかって追加費用が発生し、計画自体が頓挫してしまうというケースも後を絶ちません。当然ながら、発注者は大変な迷惑をこうむることになるのです。
当サイトでは、的確な事前調査を実施し、アスベスト含有分析を行い、優良なアスベスト専門業者へ直接発注することをお勧めしています。
そして、アスベスト工事がトータル工事の一環であるという認識のもと、優良な解体業者、改築業者などもご紹介できますので、是非ご用命ください。
残念ながら、アスベスト・解体工事業界では、いわゆる「悪徳業者」による被害が後を絶ちません。元々アスベストには危険性があるのですが、ずさんな手抜き工事により飛散し、被害が拡大しているのです。
また、実際にアスベスト専門業者さんから聞いたお話ですが、
アスベストがないのに他の現場で取っておいたアスベスト建材をまく解体業者がいるそうです。こうしてアスベスト処理費用を上乗せするのです。
逆に、アスベストがあるのにないと隠し、アスベスト処理をせず解体してしまうケースもあるそうです。
信じられないような話ですが、何れも実際に起こった事実です。
ですから、信頼できる業者選びは本当に大切です。
アスベスト処理工事は大きく分けて、事前準備(アスベスト調査と対策コンサルティング)、実際のアスベスト処理(除去・封じ込め・囲い込み)、そして事後処理(産業廃棄物の処理など)の3つに分かれます。これらの大切な工程において、あなたを悪徳業者から守るポイントをご説明します。
1.丁寧な説明、詳細な見積りを提示する業者ですか?
現場の状況により的確な対応策を提示することができ、工事内容や工事過程、工事中の住民に対してのアドバイスなどを分かりやすく丁寧に説明してくれる業者は信頼できます。
また、現地調査の上、詳細な見積もりを提示し、その見積もりに関する細かな質問にも的確に答えてくれる業者は、さまざまな経験を積んでいる証拠です。
2.工事費用が安すぎる業者ではないですか?
アスベスト処理工事では、工事をする者が着る防護服や防護マスクを使い捨てで使用するのですが、工事費用が安い業者は、このような消耗品を使い回して使用することでコストを抑え、工事費用を安くしています。
このように防護服等を使い回すことにより、アスベストが外部に飛散してしまう可能性が高まり、その結果非常に危険な状況となります。
また、工事費用が安すぎれば、当然原価割れを起こします。そうすれば、工事のどこかの部分で手抜きをし、穴埋めしなければなりません。手抜き工事になれば、アスベストが完全に除去されないかもしれません。
また、アスベストを空中にまき散らしてしまい、大問題になるかもしれません。安さももちろん、大切な要件ですが、適正な価格で工事する業者を選ぶことが、結果としてあなたの安心と経費節減につながるのです。
「アスベスト除去工事の費用」はこちら>>
3.自社でアスベスト処理用機材を揃えている業者ですか?
工事を下請業者に出さずに自社施工を行う業者は、間接費用が掛からないので、工事費用が抑えられます。
自社で職人を抱え、アスベスト処理用機材も取り揃えているので、質の良い工事が適正価格で施工可能となり、お勧めです。
4.工事に必要な資格を有する業者ですか?
アスベストの除去作業には、作業方針の決定や労働者の指揮、除去において必要な装置類の点検などの責任者「石綿作業主任者」と、産業廃棄物の正しい後処理を行う「特別管理産業廃棄物管理責任者」の資格者を置くことが義務付けられています。
また労働者全員に石綿障害予防規則に基づく特別教育を実施しなければなりません。
なお、2006年(平成18年)3月31日までに特定化学物質等作業主任者技能講習を修了した者については、石綿作業主任者として選任してもよいことになっています。
その他、除去作業を行なう作業員は、法律で定められている健康診断を受けている者(じん肺法、特定化学物質等障害予防規則などに基づくもの)であることが必須条件です。
その業者の技術者がこれらの資格を有する正当な技術者なのかを、必ず直接聞いて確認しましょう。
5.廃棄物処理を適切に行っている「法令厳守の業者」ですか?
危険物であるアスベストの除去作業においては、最後まで、周辺住民の方々の安全を最も重視した環境作りや後片付けがなされなければなりません。
アスベストは特別廃棄物として、廃棄物処理法により安全な廃棄方法が定められており、専用の産業廃棄物ポリ袋を使用します。値段は若干高めですが、安全性の観点から当然遵守しなければなりません。
しかし、中にはこの専用のポリ袋の費用を削減するために、普通のポリ袋を二重にして捨てるという業者もいるようです。これではせっかく除去したアスベスト粉じんが、周囲に飛散する恐れがあり、お客様、周辺住民、また作業員にとっても大変危険です。
除去したアスベストは粉じんが舞い散らないよう、飛散防止剤を塗布し、産業廃棄物用の専用ポリ袋を二重にして、管理型最終処分場にて処分しなければなりません。
このように、あなたや周辺住民の方々のために、是非共、「法令厳守の業者」をお選び下さい。
廃棄物処理法に違反すれば、次のように重い罰則が、排出事業者(元請業者)と処理業者の双方に科せられます。
施主(発注者)であるあなたも、このような違反が発生すれば、「発注者責任」が問われる可能性があります。
そのため、発注者は信頼のおける業者に依頼する事が非常に重要です。
<罰則一覧表>
違 反 行 為 | 罰 則 |
産業廃棄物をみだりに捨てた場合(廃棄物処理法第25条) *いわゆる不法投棄のこと 山野へ勝手に捨てる 許可なく勝手に穴を掘って埋める 許可なく勝手に海や川に捨てる等 *不法投棄未遂の場合も同様 |
5年以下の懲役 若しくは 1,000万円以下の罰金又はこの併科 |
産業廃棄物の処理を無許可業者に委託した場合(廃棄物処理法第25条) *無許可の者への委託、許可を持っていない下請業者に廃棄物を持ち帰らせる等 |
|
許可を受けずに他人の産業廃棄物の収集運搬又は処分を受託した場合(廃棄物処理法第25条) *許可を持っていない下請業者が廃棄物を持ち帰る等 |
|
法律に定める委託の基準に従わず、他人に廃棄物の収集・運搬又は処分の委託をした場合(廃棄物処理法第26条) | 3年以下の懲役 若しくは 300万円以下の罰金 又はこの併科 |
廃棄物の処理基準・保管基準係る改善命令に従わない場合 (廃棄物処理法第26条) |
|
両罰規定(法人の場合・廃棄物処理法第32条) | 1億円以下の罰金等 |
マニフェストを交付せず、又は規定事項を記載せず、若しくは虚偽の記載をして交付した場合 (廃棄物処理法第29条) |
6ヶ月以下の懲役 又は 50万円以下の罰金 |
※廃棄物処理法の規定で、罰則は排出事業者(元請業者)と処理業者の双方に科せられています。
※下記のメニューもご利用ください。