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<環境省が、石綿飛散防止 法改正へ>

5/16の朝日新聞夕刊一面の記事概要です。

解体工事現場でアスベスト(石綿)が飛散する問題が東日本大震災の被災地を始め全国で生じていることから、環境省は大気汚染防止法を改正し、ずさんな工事への監視を強める方針を固めた。来年の通常国会に改正法案の提出を目指す。現場への立ち入り検査を強化し、アスベスト濃度測定を業者に義務づける対策が柱になる。

 

当サイトでもさんざん指摘している「ずさんな解体工事」について、ようやく環境省が重い腰を上げたようです。昨年の12月1日付けの当サイト新着情報で、仙台市により市内の「アスベスト解体工事」が中止された件を記載しました。その後、茨城、栃木などでも同様の飛散事故が発生し、規制強化を求める声が自治体などから出ていたのです。

アスベストを含む建物の解体や改修時には、自治体への事前届け出や、飛散しないように床や壁を厳重に養生する必要があります。しかしながら、コスト削減や工期短縮のため、こうした手続きや対策をとらない業者が少なからずいるのです。

国や自治体は現在、届出をした業者の現場にしか立ち入り検査をする権限がないというのが実態です。したがって、アスベストが使われているかどうかの事前調査をせず、届出を故意にしない違法解体の工事現場には立ち入れないのです。

今回の法改正で、届出の有無を問わず、こうした違法現場にも立ち入れるように権限を拡大するとのことです。さらに、ビルなどの解体・改修業者に、工事現場周辺でのアスベスト濃度測定を義務づける方針です。

法改正の方向性としては良いと思いますが、以下の点が問題だと思います。

まず、今から検討を始め、来年の通常国会に改正法案の提出を目指すとしていますが、これはあまりにも遅すぎるのではないでしょうか。アスベスト飛散の問題は以前から指摘されており、神戸などの震災の経験からも早急に対応すべき問題であることは周知の事実です。それにもかかわらず、東日本大震災から1年以上たった段階でようやく検討を始めるとは、「行政の怠慢」以外の何物でもありません。

また、大気汚染防止法の罰則規定の強化が示されていません。現在の大気汚染防止法の規定では、 3カ月以下の懲役又は30万円以下の罰金に処する(第34条)など軽微な罰則となっています。この罰則規定をもっと厳しくしなければ、今回の法改正も「絵に描いた餅」になる可能性があります。

さらに、行政による立ち入り検査権限を強化しても、そのための要員が十分に確保されていなければ、これまた同様の結果になりかねません。

以上の点に留意し、さらなる良い方向への法改正が一刻も早く実施されることを切に望むものです。

 

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