アスベスト事前調査の重要性
先日、静岡県の病院のオーナー様から、お礼のお電話をいただきました。
「先ほど、アスベストの分析結果速報が届きました。
十中八九、アスベストが使われていると思っていたので、本当に助かりました。
ご指示の通り、アスベスト検体を送って分析していただき良かったです!」
当初は、この病院のアスベストを除去し、建物を解体するため、当サイトに「アスベスト解体」の見積もりのご依頼をいただきました。
しかし、状況をお聞きすると、アスベスト調査は実施していないとのこと。
そこで、解体業者さんにアスベストのサンプルを採取していただき、そのサンプルを当サイト提携の分析研究所に送っていただくようお願いしました。
その結果、「アスベスト含有なし」だったのです。
設計図書に「アスベスト(石綿)」の記載があったので、お客様だけでなく解体業者さんもアスベストが使われているものと思っていたようです。
しかし、この建物の建設時に、アスベストはセメントと一緒に現場で混ぜ込んでいたため、設計図書にアスベストの記載があっても分析してみると使われていないこともあるのです。
この場合は、施工業者が設計図書通りに施工しなかったということになります。
逆に、設計図書にアスベストの記載がなくても、分析してみると使われていることもあるわけです。
アスベストは、耐久性に優れて燃えないといった特徴があり、セメントに混ぜ込むと頑丈な製品を作ることができたのです。
吹付けアスベストとは、アスベストとセメントを混合した吹付け材のことです。この吹付け材は、固着材(結合材)として、主にセメントが使用されていたため、長年の間に劣化が進み、固着力が低下して、アスベストが空気中に飛散する恐れが出て来るのです。
建物の改修・解体時には、吹付けアスベストが飛散し非常に危険です。従って、吹付けアスベストの事前調査として、アスベスト分析は必ず行う必要があります。
2014年(平成26年)6月1日に、大気汚染防止法が改正され、
解体等工事の受注者(元請業者)は、石綿使用の有無について事前に調査し、発注者へ調査結果を書面で説明するとともに、その結果等を解体等工事の場所へ掲示することが義務付けられました。
吹付けアスベストなどのアスベストレベル1・2の工事の場合、役所に工事開始の2週間前までに届出をする必要があるのですが、その際、発注者への説明に用いた資料としてアスベスト分析報告書も提出しなければなりません。
このようにアスベスト事前調査は非常に重要で、法律によって義務付けられています。
しかしながら、この重要性が認識されていないことが多いので、解体工事が始まってからアスベストが使われていることが判明するなどの事態が起こるのです。
設計図書のアスベスト使用記載の有無に関わらず、吹付けアスベストの事前調査は必ず実施してください。
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